サッカーとラグビーの母国イギリスでは、
「サッカーは、荒くれ者のやる紳士のスポーツ、
ラグビーは、紳士のやる荒くれ者のスポーツ」
と言われている。
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SCRUMの英語の本来の意味としては、「ラグビーのスクラム」以外に「殺到する」、「乱闘する」がある。
一方、スクラムの日本語の意味としては、「ラグビーのスクラム」以外に「協調する」や「皆で何かを成し遂げる」といったかなり肯定的で前向きな意味が含まれている。これは日本の先輩ラガーメンの特質を表し、かつ日本のみで自然発生してきた意味と思われる。我々現役のラガーメンは、先輩ラガーメンの協調性や自己犠牲の精神に大いに感謝すべきではないか。
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「ノーサイド:NO SIDE」は、ラグビーの試合終了を意味する。試合が終わったら敵味方の区別なく、お互いの健闘を称えあうという、ラグビーだけに使われる特別なキーワードである。実にラグビーの精神をよく表している言葉である。他のスポーツの試合終了は、例えば、野球はゲームセット、サッカーはタイムアップと実に味気ない。
ところが、この「ノーサイド」は日本でしか通用しないという。外国から来た助っ人選手にはチンプンカンプンらしい。外国では、ラグビーの試合終了は「フルタイム:FULL TIME」という。言われてみれば、海外のTV放送では「FULL TIME」と表示されていて、「NO SIDE」というのは見たことがない。
しかし、「フルタイム」が正しいとしても、日本では「ノーサイド」を貫いて欲しいし、それ以上に世界のラグビー関係者に「FULL TIME」を「NO SIDE」に変更にするよう働きかけて欲しい。
PS 「ノーサイド」を最初に言い出した日本人が誰か?の答えが本当のトリビアかも知れない。
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楽惑のエンブレム(上図一番左)には富士山が描かれている。
一見して、あり得ないほどの急勾配であることが分かる。少々デフォルメし過ぎでは?と思ってしまう。伊豆縦貫道の三島加茂付近から見た実際の富士山(上図左から二番目)と比べてみても、明らかである。念のために、角度を測ってみると、楽惑のエンブレム:66°、実際:29°と2倍以上も急である。まあ、静岡のラグビー関係者のエンブレムであり、限定的な範囲で使われているので、少々大げさでもいいか。
ところが、である。富士山の絵として一般に広く知られている北斎と大観の絵(それぞれ上図右から二番目と一番右)もそこそこデフォルメしてあることが分かる。具体的には、北斎:48°、大観:35°となっている。
日本人は、芸術として素晴らしいものであれば、多少のデフォルメも受け入れてきたことの証ということであろう。日本人はなんと懐の深い民族なのか。
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1991年1月8日、全国社会人大会決勝、神戸製鋼vs三洋電機。後半40分、12-16の神戸製鋼ビハインドの場面。神戸陣内の密集からスタンドオフ薮木から1セン藤崎を飛ばし、ワンバウンドして2セン平尾に渡り、最後ウイングのイアン・ウィリアムス(オーストラリア代表)につながり同点トライとなった。最終的には細川の劇的なサヨナラコンバージョンゴールとなった試合である。
この最後のトライシーンでの2つのトリビアを紹介しよう。
1)薮木はタックルを受けながらも、藤崎の対面のプレッシャーが強いと感じ、かつ2センの前にスペースが
あるとみて、とっさにやや苦しまぎれの飛ばしパスを放った。この当時の神戸はスペースがある場合は
いつでもパスしてもよく、パスが通らなかった場合は、スペースに走りこまなかった選手が悪いという
ルールがあった。
2)薮木の飛ばしパスは精度が低く、ワンバウンドしてしまったが、この当時の神戸はワンバウンド等ミスと
なったパスを捕球する練習をしていた。
単に「凄い」と思われていたプレイだったが、実はその裏には戦略と鍛錬が隠れていたのであった。